膵臓の病気

膵臓の働きとは

膵臓の働きとは

膵臓は胃の後方にあり、約20cmの大きさでオタマジャクシのような細長い形状をしています。膵臓の働きは、膵液を生成して十二指腸に送ることで、膵液は栄養を分解するなど食べ物を消化する役割をします。また、体内環境を一定に維持するために、以下の2つの働きがあります。

2つの分泌の働きがあります

1.膵液の分泌(外分泌)

膵液は、消化液として分泌されて十二指腸に送られます。膵液の消化酵素が、食べ物の炭水化物やタンパク質・脂肪などを分解して消化をうながします。これを外分泌と言います。

2.ホルモンの分泌(内分泌)

インスリンやグルカゴンは血糖値を調整し、ソマトスタチンは大量のホルモン分泌を抑制します。また、血管作動性腸管ペプチド(VIP)は腸からのミネラルや水分を調整して、血中に送られます。この働きを内分泌と言います。

膵臓の代表的な病気

膵外分泌線の病気
  • 炎症:(急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎)
  • 腫瘍:(膵がん、嚢胞性腫瘍:膵管内乳頭粘液性腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍など)
膵内分泌線の病気
  • 糖尿病(1型、2型糖尿病)
  • 腫瘍:神経内分泌腫瘍

膵のう胞

膵のう胞とは、膵臓内部やその周囲に生じる袋を指します。自覚症状がないため、CT検査やMRI検査などで初めて発見されることが多い疾患です。大きさは様々で、急性膵炎や慢性膵炎にともなって発生しますが、一方で炎症とは関係のない腫瘍性膵のう胞もあります。

膵のう胞の種類
腫瘍性膵のう胞
  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
  • 漿液性のう胞腫瘍(SCN)
  • 粘液性のう胞腫瘍(MCN)
  • 充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)
  • 膵神経内分泌腫瘍(P-NET)ののう胞変性
非腫瘍性膵のう胞
  • 特発性膵のう胞
  • 貯留のう胞
  • 仮性膵のう胞
  • 類上皮のう胞
  • リンパ上皮のう胞
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

膵管内に盛り上がりのある乳頭状に膵腫瘍が増殖する状態です。ドロドロの粘液を生成して、膵臓内に嚢胞を作ります。がん化することもあります。

粘液性のう胞腫瘍(MCN)

のう胞内に大量の粘液を溜めます。将来がん化することもあり、特に中年女性に多くみられます。細胞異型の度合によって、粘液性のう胞腺腫、粘液性のう胞腺がん、非浸潤性、浸潤性に分類されます。

仮性のう胞

仮性のう胞とは、膵管が破綻して膵液が漏れ出て起こるのう胞のことです。急性膵炎や慢性膵炎、膵外傷などが原因となります。

慢性膵炎

慢性膵炎は、膵臓に慢性的な炎症が起こることで、細胞が破壊されて硬く線維化してしまい、本来の機能が果たせなくなってしまう状態です。膵臓は、膵液を分泌して消化する機能と、インスリンを分泌して糖コントロールする機能があります。膵臓が継続的に炎症することで、この2つの機能が失われてしまい完治が難しくなります。

慢性膵炎の症状
このような症状がある方は慢性膵炎の疑いがあります
  • 腹部や背中左側に痛みがある
  • お腹が張った感じ、膨満感がある
  • 倦怠感がある
  • 下痢や軟便
  • 下痢に伴って体重が減少する
  • 吐き気がある
    など

初期は自覚症状がなくても、飲酒や暴食などで発作的な腹部や背中に強い痛みが生じることがあります。自覚症状がなくても、膵臓の炎症がどんどん進行していることもあります。炎症によって、膵液分泌低下やホルモン機能低下などを起こし、インスリン機能が低下することで糖尿病を発症することもあります。そのため、無症状の場合でも定期的に検診を受けることが非常に重要となります。

慢性膵炎の原因

慢性膵炎を引き起こす主な原因は、過度の飲酒です。およそ過半数が、アルコールを過剰に摂取することで慢性膵炎を発症します。特に急性膵炎になった方は、慢性膵炎を防ぐためにも禁酒が必要です。その他の原因として、胆石や過度のストレスで発症することもあります。
また、遺伝性膵炎といって、遺伝が原因で発症することがあります。さらに、女性の中には原因が特定できない膵炎(特発性慢性膵炎)を患うこともあります。

慢性膵炎が進行すると…どうなる?

慢性膵炎の病気進行ステージによって、代償期・移行期・非代償期に分類されます。これに応じて、膵臓機能の障害程度や症状が様々に変化します。

代償期

初期段階で膵臓は通常通り機能しています。炎症が起こることで腹痛の症状が現れてきます。

移行期

膵臓機能低下に伴って、外分泌腺や内分泌腺が減って、腹痛の症状が緩和します。

非代償期

膵炎が慢性化します。膵臓機能の低下が進み、最終的には機能が失われていきます。それにともなって、消化機能や糖の調整機能も低下します。下痢や栄養障害、体重減少などを起こすだけではなく、糖尿病を併発してのどの渇きや尿量増加、夜間の排尿などが現れます。

膵臓がん

膵臓がんは、膵臓にできるがんです。基本的に自覚症状がないために早期発見が難しく、進行が早いといったやっかいな特徴を持つがんです。
予後は極めて悪くなっています。

膵臓がんの危険因子

膵臓がんのリスクを高める危険因子には、以下のようなものがあります。

  • 糖尿病
  • 慢性膵炎
  • 膵のう胞
  • 喫煙習慣
  • 飲み過ぎ
  • 家族歴(※)

※両親や兄弟姉妹のうち2人に膵臓がんの既往がある場合、膵臓がんのリスクが6~7倍になると言われています。

膵臓がんの症状

膵臓がんの症状には、以下のようなものがあります。

  • 腹痛
  • 黄疸
  • 腰痛、背中の痛み
  • 食欲不振、体重減少
  • 倦怠感
  • 急な糖尿病の発症

膵臓がんには、基本的に症状がありません。
進行してから、上記のような症状が現れることがあります(現れないこともあります)。症状のないうちから、定期的な人間ドックを受けましょう。

膵臓がんになりやすい人の特徴

以下のような人は、そうでない人と比べると、膵臓がんになりやすいと言えます。

  • 糖尿病の方
  • 慢性膵炎の方
  • 膵のう胞の方
  • 喫煙習慣のある方
  • よくお酒を飲む方
  • 両親や兄弟姉妹などに膵臓がんの既往がある方

膵臓がんは、ほとんど無症状で進行します。かつ、他のがんと比べても、予後の悪いがんです。
上記に該当する方は、定期的に人間ドックを受け、膵臓がんなどの病気の早期発見に努めましょう。

膵臓異常の疑いのある方は当院へご相談ください

膵臓異常の疑いのある方は当院へご相談ください膵臓の炎症が慢性的に続くことで、膵臓が正常に機能しなくなり、様々な症状が現れます。重篤な合併症を起こすこともあるため、早めの治療が必要です。膵臓異常を指摘された方や疑いがある方は、どうぞお気軽に堺市北区の末吉内科までご相談ください。

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