生活習慣病
生活習慣病とは、運動、休養、喫煙、食事、飲酒などの生活習慣が疾患の発症の原因となるような疾患の総称で、日本人の死因の上位を占める、高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、高尿酸血症(痛風)などの代表的な疾患以外にも、がんや心臓疾患、脳卒中なども含まれます。
生活習慣病は、毎日の生活習慣の積み重ねにより発症・進行する慢性疾患であり、人間の加齢に着目した「成人病」とも疾患の内容が重複するものもあるのですが、原則的には両者はそれぞれ異なる概念の上に立つ疾患です。
生活習慣病の治療には、まずはその原因となった生活習慣(運動不足や不健康な飲食等)を見直し、より良い内容に改善していくことが大切です。
食事・生活習慣を一緒に見直しましょう!
生活習慣病の治療としては、まずはこれまでの食習慣や運動(不足)習慣を見直して、より良い方向に改善していくことが必要です。
1.食習慣の改善
- 栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂ること
- 塩分を控え、野菜や果物を摂ること
- 禁煙や節酒の行う など
2.運動習慣の改善
- 適度な運動をする習慣を身に付けること
- 質のよい睡眠をとること など
高血圧
高血圧とは、血圧が正常よりも高い状態のことを言い、特に安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態を指します。具体的には、医療機関で測定した場合の最高血圧が140mmHg以上、あるいは最低血圧が90mmHg
以上と診断されます。
高血圧は原因に応じて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類されます。
本態性高血圧とは、塩分の過剰摂取や肥満、運動不足などの生活習慣に関係して起こるもので、一般的に高血圧とされるものはこちらに当てはまります。
二次性高血圧とは他の疾患に起因して起こるもので、原因疾患としては、ホルモン分泌異常や睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
治療法
高血圧治療の目的は、高血圧により血管への悪影響が及ぶことを回避し、動脈硬化や心筋梗塞などの重篤な疾患を招かないようにすることです。他の生活習慣病と同じく、食事や運動に関する習慣の改善が治療の基本になりますが、高血圧の場合は特に食生活の改善が重要で、塩分の摂取量を一定の量以下としたり、野菜や果物を積極的に摂取したりすることによって、適正体重を維持することが必要です。
このような生活習慣の改善を行っても血圧が下がらない場合は、降圧剤投与などの薬物療法を行います。
糖尿病
糖尿病とは、様々な要因によって血糖値が高くなる疾患です。本来であれば、血糖値は膵臓から分泌されるインスリンによって正常値に保たれますが、これが不足したり、機能が不十分になったりすると血糖値のコントロールが難しくなり、糖尿病に至ります。
糖尿病には1型糖尿病と、2型糖尿病に分類されます。
1型糖尿病はさらに「自己免疫性」のものと「特発性」のものとに分けられます。自己免疫性は、何らかの要因で膵臓のベータ細胞が破壊されることで発症します。
また特発とは、原因不明で発症するものを言います。
2型糖尿病は、日本の糖尿病全体の9割以上を占め、多くの場合、食事や運動、肥満などの生活習慣上の問題に起因して発症します。
糖尿病の初期には目立った自覚症状は現れませんが、進行すると喉の渇きや食欲増進、疲れやすい体調、体重減少などの症状が出てきます。さらに進行すると糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、といったいわゆる「3大合併症」が起こります。さらには動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの重篤な疾患を招く恐れがあります。
糖尿病の症状は気づきにくい!?
初期の糖尿病では、自覚症状はほとんどありません。しかし、血糖値の高い状態が続き、病状が進行すると、以下のような自覚症状が現れます。
- 多尿(尿に糖が混じるときに水分も放出されるため多尿が生じる)
- のどの渇き(多尿による)
- 多飲(のどの渇きによる)
- 疲れやすい状態 など
高脂血症(脂質異常症)
高脂血症とは、血液中の脂質の値が基準値を超える(あるいは満たない)状態になっていることを言います。現在では、「脂質異常症」と呼ばれています。脂質の異常には、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が多いケースと、逆に少ないケースが含まれます。
自覚症状はありませんが、放置していると動脈硬化を進行させる可能性があり、脳梗塞や心筋梗塞の原因となることもあります。
高脂血症の基準値
高脂血症(脂質異常症)の診断基準値(空腹時採血による数値)は以下の通りです。
- 高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が140mg/dl以上
- 境界域高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が120~139mg/dl以上
- 低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値が40mg/dl未満
- 高トリグリセライド(中性脂肪)血症:トリグリセライド値が150mg/dl以上
治療法
高脂血症(脂質異常症)の原因が生活習慣の乱れによるものである場合には、食事や運動などの生活習慣の見直しを中心とした治療を行います。具体的には脂質や炭水化物の過剰摂取を控えたり、過度な飲酒をしないといった食生活の改善、ウォーキングなど、患者様お一人おひとりに合った適度な運動といったものになります。
これによっても十分な改善に至らない場合には、コレステロール値を下げる薬の投与や、中性脂肪を下げる薬の投与を行います。
高尿酸血症(痛風)
高尿酸血症とは、血液中の尿酸量が多い状態のことを言います。体内で尿酸がさらに増加すると、尿酸が結晶化して関節などに沈着することがあり、これが炎症を起こして激しい痛みという自覚症状が発生します。この状態を俗に痛風と言います。
痛風が起こると肘や膝など、全身の関節で激しい痛みを感じ、さらに進行すると尿路結石などの合併症を引き起こす恐れがあります。
治療法
関節の激しい痛みなどの自覚症状がある場合は、鎮痛薬を投与して緩和をはかります。痛みを抑えたうえで、痛風の原因である高尿酸血症を改善する薬の投与を行い、血液中の尿酸値の改善をはかります。
薬物療法のほか、プリン体を含む食品やアルコールなどを控える食事療法や、尿酸値を下げるための水分摂取を行っていくことも必要です。