ストレスって関係ある!?逆流性食道炎ってどんな病気?
逆流性食道炎とは、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流して食道に炎症が起きる病気です。健康な方でも一時的にみられる事のある症状で、時間が短い場合には問題となる事は少ないですが、逆流の時間が長くなると食道の粘膜が胃酸に対して弱いことから、食道に炎症が起きてしまいます。
この病気は特に中高年、中でも高齢者に多く見られる疾患です。適切な治療を怠ると、症状が持続することで生活に支障を来す場合もあります。
このような症状ありませんか?セルフチェックしてみましょう!
- 胸やけがする
- 胸がむかつく
- 前かがみの姿勢を取ると、胸やけがひどくなる
- 酸っぱいものが込み上げてくる(呑酸:どんさん)
- お腹が張る
- 胃もたれがする
- 喉のひりひり感がある
- 食べ物が喉や胸につかえる
- げっぷが頻繁に出る
上記のような症状がみられる場合は、逆流性食道炎の可能性が疑われますので、堺市北区にある末吉内科へご相談ください。
逆流性食道炎になりやすい方
逆流性食道炎は、生活習慣(食習慣)、仕事中や生活中の姿勢の保ち方、体型などに起因して発症することがあります。
食事・生活習慣
- 便秘の傾向
- 早食い
- 食べ物をよく噛まずに飲み込む
- 喫煙
- 過剰な飲酒
- 食べ過ぎ、飲み過ぎ
- 食事の後、すぐ横になる など
姿勢の習慣・体型
- デスクワークや肉体労働などで、長時間、前かがみの姿勢を取る
- ベルトでお腹を締め付けている
- 肥満傾向
- 妊娠中である
- 姿勢が悪い(猫背)
- 加齢などで背中が曲がっている など
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎の発症する原因は、胃酸の逆流を防止する機能がきちんと働かない場合や、胃酸が増え過ぎることにあります。さらに以下の要因によって逆流性食道炎が起きやすくなります。
- 食べ過ぎや早食い
- アルコールの過剰摂取
- 喫煙
- 肥満による胃の圧迫
- ストレス
- 猫背、加齢による背中の曲がり
- 胃の手術による胆汁の逆流 など
逆流性食道炎を放置すると合併症を伴う場合も…
胃酸が食道に逆流して食道の粘膜が胃酸に長期間に渡ってさらされると、食道粘膜が「バレット食道」と呼ばれる粘膜に変化していきます。また、睡眠障害を引き起こすこともあります。
バレット食道
食道粘膜の扁平上皮と呼ばれる組織が、胃酸の逆流によって円柱上皮(胃の粘膜に似た組織)に変化してしまうことを「バレット食道」と言います。バレット食道によって食道がんが進展する危険性が高まるということも言われていますので、逆流性食道炎を放置しないようにしましょう。
睡眠障害
「睡眠障害」とは、逆流性食道炎の症状によって安眠が阻害されることにより、寝つきの悪さや夜中に何度も目を覚ます、日中に眠気に襲われる、といった症状を発症させるものです。
当院で行う検査
PPIテスト(プロトンポンプ阻害薬)
胸やけ等の自覚症状がみられるが、内視鏡検査で異常が見つからない、または検査が難しいといった場合に、胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を1週間程度服用し、それによって逆流性食道炎であることを診断する検査です。
PPIの服用によって胸やけなどの症状が改善されれば、それによって逆流性食道炎に罹患していると診断されます。
胃内視鏡検査(胃カメラ)
逆流性食道炎による潰瘍は、内視鏡検査を行うことで診断することが多いです。潰瘍に出血が認められると、内視鏡によって止血を実施することもあります。内視鏡検査によって食道の状態を細かく確認することで、その他の病気の状況も調べることができます。
当院では胃カメラ検査は実施していませんので、ご希望の場合は専門機関をご紹介させていただきます。
逆流性食道炎の人はタバコやお酒をやめるべき!?
逆流性食道炎とタバコ(喫煙)
逆流性食道炎にとって、煙草に含まれるニコチンは罹患のリスクを高める要因となります。具体的には、ニコチンには胃酸の分泌量を増加させる作用があるため、胃酸の分泌量が過剰になって食道への逆流が起こりやすくなります。また、喫煙は唾液の分泌量を低下させる原因となりますので、逆流した胃酸により食道が傷つけられやすくなります。
逆流性食道炎とお酒(飲酒)
逆流性食道炎では、アルコールも避けるべき要素です。アルコールは胃の内容物の逆流を防止する「下部食道括約筋」の機能を弱める働きがあるほか、食道の食べ物を胃に送り出す「蠕動運動」の働きを弱めてしまうことがあります。こうなると胃酸が逆流しやすくなるとともに、食道に滞留しやすくなるため、逆流性食道炎のリスクが高まります。
治療法
逆流性食道炎は、効果のある薬剤が登場してきていることもあって、現在では治りやすい病気になっています。
ただし再発しやすいため、治療方法としては薬物療法と合わせて、生活習慣の改善を行います。また重症の場合や、薬物療法とともに生活習慣改善を行っても効果が思わしくない場合には、手術も検討されます。
逆流性食道炎の治療にあたっては、同じような症状を現す食道がんとの正確な鑑別が必要です。そのため、内視鏡検査により食道の粘膜を観察したり、病変部の組織を採取して検査を行ったりすることもあります。
お薬による治療
薬物療法では、胃酸の分泌を抑制する薬を中心に、食道粘膜保護のための薬や胃酸を中和する薬などを使用します。
PPI
胃酸を分泌するプロトンポンプの働きを抑制することで、胃酸分泌量を減らす薬です。再発防止用にも使用されています。
H2ブロッカー
胃酸の分泌量を抑制する薬です。医師が使用するH2ブロッカーは、市販薬とは含有量や効果が異なります。
消化管運動機能改善剤
ガスモチンやナウゼリン等といった薬が、消化管運動機能改善剤として使用されます。消化管機能や蠕動運動を改善することにより、食べ物の消化を助け、胃の中での食べ物の滞留時間を短くする効果があります。また、胃酸や食物の逆流の発生を起こしにくくする効果もあります。
制酸薬
胃酸を中和することで症状を緩和し、炎症を改善します。効果持続時間は短く、他の薬剤と併用する方法を採ります。
粘膜保護薬
食道の粘膜の保護と炎症改善を助ける効果のある薬です。効果持続時間は短く、他の薬剤と併用する方法を採ります。
食習慣(生活習慣)の見直し
食生活の改善、肥満の解消、腹圧をかけない姿勢を取ることなどによって、炎症の症状緩和だけでなく、炎症の再発を防止します。
食事
脂肪分やたんぱく質の摂り過ぎは避けるとともに、食べ過ぎにも気をつけます。また、食べた後にすぐ寝るのは避けて、食後2~3時間程度経過してから睡眠を摂るようにしましょう。以下の食品は胃酸を増加させたり、炎症の症状を悪化させたりするので、できるだけ避けるようにしましょう。
※対象食品:唐辛子などの香辛料、酸味の強いもの、甘いもの、消化の悪いもの など
タバコ・お酒(嗜好品)
煙草は逆流性食道炎を悪化させますので、吸わないようにしましょう。アルコールは胃酸の分泌を促進し、胃から食道への逆流を防止する食道下部括約筋を緩める作用がありますので、お控えてください。
コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物は胃酸の分泌を促進しますので、こちらでもできるだけ控えてください。
お腹の締め付け(腹圧)
肥満は腹圧を上げることになりますので、ウォーキングなどの軽い運動を定期的に行うことで解消するようにしましょう。体を締め付けるような衣類や、猫背の姿勢は腹圧を上昇させる要因となりますので、お腹を締め付けるような服装は避けるとともに、正しい姿勢を保つようにしてください。また就寝の際は上半身を多少高くして寝ると、逆流が発生しにくくなります。